
あわいの声
許靖婧、小泉澄香
2023.1.4(Wed) - 1.10(Tue)
13:00-19:00
会場:東京都中央区日本橋久松町4-12コスギビル4F 長亭GALLERY
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日常の中にある「家」という空間は、私たちにとって最も身近でありながら、最も複雑な心理的層を内包している場所でもある。
それは守られる場であると同時に、無意識のうちに感情や記憶を閉じ込めてしまう構造でもある。
本展は、東アジア出身の女性作家による映像およびイメージ作品を通じて、「閉じられた空間」と「内的時間」の関係を静かに問い直す試みである。
作品に共通するのは、明確な物語を提示することよりも、反復される動作、停滞する時間、わずかな違和感を通して、心理的な圧力や感情の揺らぎを可視化しようとする姿勢である。
許靖婧(Jingjing Xu)の映像作品 House of Unending は、古い家屋という象徴的な空間を舞台に、身体と意識がどのように閉塞と向き合い、そこから別の可能性を模索するのかを描き出す。
ここで描かれる「家」は単なる物理的な建築ではなく、文化的背景、移動の経験、そして女性として生きる中で形成される内的構造そのものとして機能している。
同様に、小泉澄香(Kiyoka Koizumi)の作品は、日常的な室内空間や反復的な身体動作を通して、言葉にされにくい感情や時間の歪みを浮かび上がらせる。
彼女の映像は、静かなリズムと抑制された構成によって、観る者に「理解する」ことよりも「滞在する」ことを促す。
本展は、明確な結論や出口を提示するものではない。
むしろ、閉じられた空間の中で生まれるわずかなズレや呼吸、そしてそこから立ち上がる感情の層に耳を澄ませるための場である。
観る者それぞれが、自身の内側にある「終わりのない部屋」と静かに向き合う時間となることを願っている。
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小泉 澄香(こいずみ すみか|Kiyoka Koizumi)
1996年 東京都生まれ
映像・インスタレーション作家
小泉澄香は、映像と空間インスタレーションを用い、家庭的な環境や私的空間に潜む感情の揺らぎや時間感覚を扱う作家である。
彼女の作品は、反復される身体動作、閉じられた室内空間、緩やかな時間の流れを通して、言語化されにくい不安や停滞感を静かに可視化する点に特徴がある。
近年は、日常空間を心理的風景として再構成する映像作品を中心に、小規模ギャラリーやオルタナティブスペースで発表を続けている。
許 靖婧(Xu Jingjing)|アーティスト
許 靖婧(Xu Jingjing)は、映像を中心に制作を行うムービングイメージ・アーティスト。
東アジア出身で、ロンドンの University of the Arts London(UAL)に在籍し、イギリスを拠点に活動している。
彼女の作品は、反復される動作や時間の停滞、閉じられた空間を通して、個人の内面や意識の循環を静かに描き出す。物語性を前面に出すのではなく、映像のリズムや身体の動き、空間との関係性によって、観る者に思考の余白を残す構成が特徴である。
映像作品はしばしばインスタレーション的な視点を持ち、心理的な圧迫感や移動経験、日常の中に潜む違和感を、控えめで詩的な表現として提示している。
