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「もう一人の自画像 Another self-portrait」

KIMDOOHA

2021.4.10(Sat)-4.25(Sun)
13:00-19:00 月、火休み
会場:東京都中央区日本橋久松町4-12コスギビル4F 長亭GALLERY
入場無料
info@changting-gallery.com

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展覧会ステ〡トメント

ラカンは、「人間は他者の欲望を欲望する」と言った。つまり、「人間は自分ではなく、他者の望む生き方を選択す
る」というのである。人間は生まれた瞬間から家では、「娘/息子らしく」「姉(兄)/妹(弟)らしく」あること、そ
して学校や職場では、集団の一員としてうまく機能することを求められる。それはまるで、顧客のニ〡ズに合わ
せてつくられた「商品」のようである。ならば、売れない商品は不要だというのだろうか。人と接することをやめて
しまった引きこもり。もう一人の自分をオンライン上につくり上げる若者。さらに年に何万もの人が、行き場を失
くして自分自身を抹消している。「もう一人の自画像」は、現代人のポ〡トレ〡トである。鮮明に写し出されてい
るのは社会の欲望通りに商品化された姿、靄がかっているのは、自分を消し去ろうとしている姿である。他人の欲
望に従うのではなく自分が満足する自画像を、鑑賞者が描くきっかけになればと思う。
ア〡ティストステ〡トメント
人間はこの世に生まれた瞬間、社会の最小単位である家庭内での教育により、自分らしさは放棄され社会での役
割と価値の基準を強いられる。強制的にというよりは、両親から愛されるための生存の本能である。そして幼稚
園や学校での教育により、さらに確固たる「社会型人間商品化の過程」を経る。
デジタルネイティブ世代は母国語よりも、スマ〡トフォンに先に触れながらSNSを通して社会を勉強すること
になる。広告や各種メディアから強要を受けた現代人は、編集された日常をまるで日記を書くかのようにSNSに
投稿している。
商品化から脱落した人の中には、家の中から出ずオンライン上で複数の人生を生きる人や、自分の全ての情報を
消去し、社会から消え去る人や、中には極端な選択をし、自殺してしまう人もいる。たとえ商品化の成功を遂げた
としても、ネカマなど新しい自分をオンライン上に作る人まで現れる世の中となってしまった。
私は韓国の中でも非常に保守的な慶州という地域で生まれた。長男の家に息子がいないというだけで、出生と同
時に父の兄の家の養子となり、韓国特有の長男の役割を与えられた。
子供の頃、最も可愛がってくれた叔母は自殺で亡くなった。嫁ぎ先で「潔癖症」という理由だけで人と違うと判断さ
れ、家族からの非難と差別に耐えきれず自殺を選択した。叔母は自分自身が望む生き方ではなく、社会や他人の
欲望によって人生が決定されたのである。
私達は社会や他人と向かい合って生きていくことを余儀なくされる。家庭、学校、メディアなどを通じて無限の
欲望を強要され、そして自分自身もまた、別の人に多くを求めるようになるのだ。
今回のテ〡マである「もう一人の自画像」は、商品化された人間と、自分自身を失ってしまった現代人の姿を表現し
た。まるで売り場にある人形やロボットかのように鮮明に写し出された自画像は、社会のイメ〡ジ通りに商品化
された、不自然で非人間的な姿を表現した。一方、まるで靄の中にいるかのように霞がかった自画像は、社会の判
断で規定外となった者が行き場を失い、自分自身の姿を消し去ろうとしている姿である。
今回写真の中に登場するモデルは、社会的弱者の役割である女性だ。私が生まれ育った韓国では、女性の地位が
男性より低く、幼い頃からあらゆる事が制限され、男性より多くのタブ〡が存在していた。その禁忌によって別の
欲望が生まれ、そしてその欲望を助長するかの如く、メディアと広告が日々襲いかかってくる。
「もう一人の自画像」では、女性の象徴であるピンクカラ〡と相反するブル〡を背景にした。容易に浸透してしま
う薄い透明な膜は、社会という外部の攻撃から守るための保護膜である。これは現代社会を生きていく私たちの
自画像なのだ。
他人の欲望に従うのではなく自分が満足する自画像を、鑑賞者が描くきっかけになればと思う。
プロフィ〡ル
キム·ドゥハ | Kim Dooha
1980年韓国·慶州生まれ、日本を拠点に活動 | Born in 1980, GyeongJu, South Korea, based in Osaka,
Japan
個人展
2021
「あなたが主役のMARISHOO展」「もう一人の自画像」, 長亭GALLERY, 東京
「MARISHOO展」,BE = Lab&Gallery,大阪
2020
「MARISHOO展」, 梅田蔦屋書店,大阪
「Play29'sフェア」, 蔦屋書店,大阪
「もう一人の自画像」,BE = Lab&Gallery,大阪

「5月のときめき」京都写真美術展、京都
「29歳、写真と遊ぼう 」,spectacleKITAHAMA,大阪
2019
「ポトンソニョ」,BE=Lab&Gallery,大阪
「ポトンソニョ」,spectacle KITAHAMA,大阪
「ポトンソニョ」,蔦屋書店,大阪
「Season 2」,北浜一帯4ヶ所,大阪
「ポトンソニョ」,あべのハルカスア〡トギャラリ〡,大阪
2018
「BOTTON KITAHAMA」,北浜一帯8ヶ所,大阪
「普通少女」Gallery 風,大阪
農産物展」ポルム山美術館/金浦
「普通少女」spectacle KITAHAMA,大阪
2016
「町農産物展」ポルム山美術館,金浦
「最も暖かい対話」済州文芸会館,済州
「再び春」トゥルハナギャラリ〡,済州

2015
「普通少女」サラダアンドミミ,済州
「毛糸」Damhwahun,済州
「農作物」(馬羅島から来たジャ〡ジャ〡麺屋,済州)

2014
「最も暖かい対話」キャノンギャラリ〡,ソウル
「普通少女」キャノンギャラリ〡,ソウル
「普通少女」ギャラリ〡トピック,ソウル
「普通少女」SETEC,ソウル
「普通少女」BKギャラリ〡,青島

2007
「LOFTD空間展」LOFTD,ソウル

2006
「showcase空間展」showcase,慶州


グル〡プ展 / ア〡トフェア
2021
「NEW YEAR 2021」KAZE ART PLANNIG,大阪
2020
「ART OSAKA」山川ビル,大阪
「AiPHT PLUS」,PARK HOTEL TOKYO,東京
「3 Parsons Exhibition」KAZE ART PLANNIG,大阪
「ア〡トの風」大阪韓国文化院、大阪

「Gift展」BE = Lab&Gallery,大阪
「クリスマスフェア 贈る、photography!飾る、photography!」蔦屋書店,大阪
「ART NAGOYA 2020」,ホテルナゴヤキャッスル,名古屋
2019
「記憶のカケラ,ニ人展」,ボタン博物館,東京
「city as nature festival : imagine the possible city」,千鳥文化,大阪
「記憶のカケラ2,ニ人展」,SENSART GALLERY,三重県·名張
「AiPHT」,PARK HOTEL TOKYO,東京
「記憶のカケラ,ニ人展」,シジェ〡ムギンザ,東京
「ART OSAKA 2019」,HOTEL GRANVIA,大阪

2018
「How are you,PHOTOGRAPHY?」,Gallery Main,京都

2017
「LEICA OSCAR BARNACK」COEX,ソウル

2016
「済州ア〡トバ〡ゲン」トゥルハナギャラリ〡,済州
「パ展」DDPビルボ〡ドギャラリ〡

2015
「場面の誕生」ギャラリ〡ルックス,ソウル
「ティ〡タイム」ギャラリ〡トピック,ソウル
「ユオイエ三人展」gallery philmuk,ソウル
「平和旗展」ポニ〡公園,済州
「済州平和祭り写真展」コ〡ヒ〡博物館, 済州

2014
「SEOULPHOTO 2014」COEX,ソウル
「HIAF」弘益大学現代美術館,ソウル
「ユオイエ三人展」shinsam工房,済州

2013
「SEOULPHOTO 2013」COEX,ソウル
「ソウル平昌ビエンナ〡レ」Alpensia,平昌

2011
「SEOULPHOTO 2011」COEX,ソウル

2010
「SEOULPHOTO 2010」COEX,ソウル
「クリスマス展」ミオギャラリ〡,ソウル

2009
「SEOULPHOTO 2009」COEX,ソウル
「LOFTD展」Art&Dreamギャラリ〡,ソウル
「SOMERSET展」 SOMERSET PALACE SEOUL,ソウル
「SIPA」ソウル芸術の殿堂,ソウル

2005
「排出」夢幻,ソウル
「弘大前」グリムコル,ソウル
ア〡ティストウェブサイト
https://kimdooha.loftd.co.jp/

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