武蔵野美術大学 諏訪敦研究室展
MELTING POT
江崎 空、秦 思静、山脇 崇史、高橋 美紗貴、早川 温人、古川 右京
2024.09.07(Sat) - 9.22(Sun) 月、火休み
13:00-19:00
会場:東京都中央区日本橋久松町4-12コスギビル4F 長亭GALLERY
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Statement
絵画とは世界の中に居て常に混乱に晒される我々の、行動指針や生きていく上での作戦の青写真という性質も持っていると思う。たとえそれが実現不可能なものであろうとも、机上の空論となろうも、一度でも頭のなかに侵食した現実はありとあらゆる可能性を走査させる。
その上で過去、現在、未来が交錯したりしなかったり、不変、可変、普遍、特殊、様々な性質を持つ作品が弾き出される。
ここに 6 名の青写真が集い、各々のやり方で、自らの現実との相対した現段階での方法をもってして白い空間内で各領域をぶつける。作品同士のみならず、その刃は鑑賞者の現実へ向けられる事もあるだろう。それが芸術の面白いとこだと思う。楽しんでくれると幸いです。
(江崎空悟)
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江崎空悟
2024 日本文化藝術奨学生採択
2023 名古屋造形大学との交流展に選抜
Ena新美でのグループ展に参加
2022 武蔵野美術大学卒業制作展 優秀賞受賞
三雲祥之助賞受賞
立川学生映画祭 企画運営
展覧会「野山のなげき」図録に展評を寄稿(Room_412)
2021 『OA No.1- アートと新型コロナウイルス感染症の現在 -』
にインタビューと批評を寄稿。
2020 東京都立川市で共同アトリエスペースを設立し運営を行う
明日、急に社会制度が破綻した世紀末的な世界になったとして、そんな世界で最後に立っているのは、その状況をおもしろがって生きることができる、そんな芸術技法を持った人間だと思う。
残骸から新しい形式の精神を形作るような人間。
反芸術が生み出した残骸を受け取り、まだ見ぬ絵画の形をその物体としての構造の探索を通して制作している。
めちゃくちゃに切り裂かれ荒野のようになった芸術ジャンルの残骸を拾い集め、絵画から一歩も出ずに、その内より変容させるような、絵画から取りこぼされてきた可能性を回収する挑戦。
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早川温人
菊池武彦から美術を学び始める
2022 桐生大学短期大学部アート・デザイン学科 卒業
武蔵野美術大学油絵学科油絵専攻 編入
2024 武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油絵コース 在学中
Exhibitions
2020 早川温人展「しわをみる」 (西門-SAIMON-/ 足利市)
グループ展「顔」 (白-haku-/ 桐生市)
2021 早川温人展 (PENSEE GALLERY/ 桐生市)
2023 グループ展「なかみのかたち」(haco-art brewing gallery/ 台東区)
2024 早川温人展(Gallery b.Tokyo/ 中央区京橋)
私は近くにある未だ発見していない現実を観察し、新たな美意識の発見と独自の絵画表現を目指している。私の絵画制作におけるプロセスは大きく分けて五つある。一つ目は「スキャナを用いてイメージを得る」ことだ。私はこの行為をドローイングとして行っている。一般的にドローイングとは紙やキャンバスに描かれるが、描いている最中は対象を意識することができない。私は、ドローイングの本質は対象を観察することにあると考えているため、対象への意識が途切れない状態を作った。二つ目は「イメージを選択しプリントする」ことである。スキャナを用いたドローイングは一度限りで終わらせることはなく、数十回から百回以上同一の対象に行う。その数ある中から私の意志が引き寄せられたイメージを選択した。三つ目は「プリントしたイメージ画像に油絵の具を当てながら調色する」ことである。再現性が担保されたプリントを信用し、その色彩を自身の目を使って抽出することで絵の具が根拠を持った色彩の状態にする。私はこの工程により精神を整え、絵を描く準備としている。絵を描くための儀式のような工程である。四つ目は「調色した油絵の具をキャンパスの対応する座標へ置く」ことである。私の意志が引き寄せられたイメージの色彩の座標に注目し、私が感動したイメージの本質的な要素を探る。五つ目は「置いた絵の具を伸ばす」ことである。対応する座標に置いた絵の具を伸ばし、それぞれの座標、絵の具同士がつながる。このプロセスの中で私が感動した要素を残し、繰り返すことで新たな美意識の発見と、独自の絵画表現を目指した。
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山脇崇史
2020 第16回世界絵画大賞展2020スリーエムジャパン賞受賞
第72回中美展 入選
Gallery美の舎公募展works!vol.1
2021 中美展新人展
2022 鋸山美術館コンクール展 入選
アートオリンピア2022 佳作
第18回世界絵画大賞展2022 ラファエル賞受賞
2023 武蔵野美術大学卒業制作展
idemitu art award 入選
「身近さを感じる裸夫画」をコンセプトに制作。
男体の色気の暴力でいっぱいの空間を作って、閲覧者の脳裏に焼き付けつける事を目標にしている。
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高橋美紗貴
2024 武蔵野美術大学 大学院造形研究科美術専攻油絵コース 在学中
受賞歴
2024 令和5年度 武蔵野美術大学 卒業制作 優秀賞
2024 三雲祥之助賞
展示歴
2022 第9回 未来展 (日動 画廊/銀座)
2022 Spark展 (新井画廊/銀座)
2024 桜花桃李(モノノアハレヲ/福岡)
描くものの多くは、どこかが壊れ、欠けている。 それらは本来の機能を失い、いちど役目を終えたものたちだ。その姿はどこか寂しげでもあるが、軽やかで美しくみえた。
静物の冷たさとそっけなさの中に静かに目を凝らすと、自分が知り得ない時間を持つ個体であることを実感する。傷や欠けといった、そのもの特有の時間の痕跡から想いを巡らせ描く過程は、対象への親しみを錯覚するとともに、対象を遠く感じる過程でもある。
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秦 思静
1998年生まれ
2017 西安美術学院 油画学部に入学
2021 油画第二研究室で卒業
卒業制作で指導教員賞 受賞
2023 武蔵野美術大学 大学院 造型研究科修士課程 油画コースに在学
絵画を通して、表現したいものは特にありません。私はただキャンパスと向き合って、目にしたものを忠実に描きます。
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古川右京
2022 アートオリンピア2022 佳作
2023 第3回ARTIST NEW GATE グランプリ
第19回 世界絵画大賞展 優秀賞
長亭gallery展2023 入選
2023 Dutch Auction ART NOW vol.2 (東京 銀座蔦屋書店)
2024 ARTIST NEW GATE-松坂屋セレクションVolʼ2- (松坂屋名古屋店)
AWAKE Eve.3(阪急メンズ大阪 Contemporary Art Gallery)
第11回 未来展(東京 日動画廊)
2024 古川右京 油彩画展-MOSH-(大阪 あべのハルカス近鉄本店)
EASY DAY(東京 Gallery Seek)
ゲームのバグや、映像のブレをテーマに制作している、ゲームのバグはプログラミングの不備であり、映像のブレはDVDやブルーレイのディスクに傷がつくことで起こる。
それは本来の役割を果たしていない欠陥とされる現象だが、どこか美しさを感じた。
それを画面に置き換えたときに、色や形を間違えてしまう供発的なエラーや自発的に起こしたブレを同時に描くことで、本来なら止まっているはずの画面に時間や空間を内包させられると考える、画像内のモチーフ同士が無序に混ざり合ったり、ぶつかり合ったりし、壊してしまう様な緊張感を表現している。