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​グランプリ

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「figure drawing Ⅱ」

松浦美桜香 Mioka Matsuura

1000×650mm

2021

木炭画 Charcoal on paper

作品コンセプト

布によるオリジナルのぬいぐるみを製作し、平面に落とし込む。

無意識下にある世界と日々の記憶とが絡んだ人物像を、布という素材を通してアウトプットし確かなものとしてここにあるということを絵画で表現した。

 

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優秀賞

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秋のようせい(松ぼっくり)

松岡日菜子 Hinako Matsuoka

652×500(mm)

2022

パネルにアクリル

作品コンセプト

日常生活において、全ての出来ごとは個人一人一人の一方向からの記憶の断片でしかない。それと違って絵画は、私に世界の全体を見せてくれる。とてもいいものである。

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特別賞

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《GAITA》

LEE NICOLE リ-ニコル

31 x 46 x 2.5 cm

2021

水墨 

作品コンセプト

"GAITA" is taken from the homonym of "蓋塔". These towers (or something with similar shapes) are extracted from the landscape, and those towers remain in reality. Image has been separated into a memory point in the brain. And in the process of turning it into a picture, it was rebuilt once, and gradually turned into something soft and luminous,probably composed of brainwaves.

 

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奨励賞

小林正人賞

OJUN賞

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From my room

おひの にほ Ohino Niho

1050x575x40mm

2022

木枠に中厚口綿布張り、アクリル、油彩

作品コンセプト

 酷く外界に怯え、そのまま布団に包まっていたいという自身の弱い本音。それでも生きていかなければならない。外界と関わっていかなければならない。その為に武装し外界と向き合う。そんな自身の現状をモチーフにした。

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「freedom dogs」

泰樂 瑠花 Ruca Tairaku

F30(910×727mm)

2022

oil on canvas

作品コンセプト

犬にとっての自由。人にとっての自由。

 

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諏訪敦賞

井浦歳和賞

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≪弔う庭≫

髙橋冴 Sae TAKAHASHI

720×520×30mm

2022

綿布張パネル、油彩

作品コンセプト

 飾っていた花が枯れた。捨てるために折ったら「パキッ」と音が鳴った。その音は「まだ生きている」という生々しい声のようであり、それは、幼い頃自分の手の中で死んでいったハムスターの微かな心音を思い出させた。この時、抱いた感覚を失ってはいけないと思い形にした。

 また、この作品のサイズは箱庭療法に使われる箱の規定サイズである。幼少期行なっていた箱庭療法を思い出しつつ、制作た。

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真実の幕 veil of reality

唐 詩尭 Tang Shiyao

31.8x41cm

2022

パンネルに油絵の具

作品コンセプト

John Rawls came up with the concept of the veil of ignorance, the removal of features and context to establish order in a very just way. And in life, can the life we encounter be represented in an ideal state of reality? This is what the Curtain of Truth series explores.

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長亭GALLERY賞

長亭GALLERY賞

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くいこみツリー/Trees digging into fence

近藤拓丸 Takumaru Kondo

F15号 652×530×30mm

2022年

oil on canvas

作品コンセプト

 私の絵画は旅行や夢、映画やゲーム、小説などの実際に見聞きした経験をもとにドローイングを描き、それを3DCG空間上に立体物としてモデリングするという手法で描いています。

 この作品は、近所に生えている樹木がだんだんとフェンスを侵食していく様子を描いたものです。

 土地を分断するためのフェンスに樹木が抗っている、もしくは共生しているかのように見えます。

 長い時間をかけて有機的な樹木が無機的なフェンスを侵食していく様子を3DCGの空間上で制作し、描きました。

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「幽霊のように」

神頭優太 Yuta Shinto

652 x 530 x 20mm (F15)

2022年

キャンバスに木炭、油彩

作品コンセプト

描いている絵が、とにかく気に入らなかった。

大量のテレピン油で洗い流すだけでは飽き足らない。

痛めつけるようにナイフで表面を削り、パレット上の絵具を投げつけた。

それでも、かろうじて絵は生きていた。

 

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審査員コメント

小林正人氏

グランプリ作品
「figure  drawing  II」松浦美桜香

ギャラリーに並んでる絵を見ながら審査員の皆んなと話して今回の審査は最初は作家のポートフォリオは見ずに、つまり経歴は無視して作品の力だけで作品をピックアップする事にした。
先ず全員一致で飛び出してきたのが松浦美桜香の木炭画だった。
フィギュアのドローイングだが、街に居る服を着て座ってる普通の少女を至近距離から狙い黒い木炭で描いて塗る。ド直球で対象に迫る近さに甘えや逃げを自分に許さない生々しい気迫が伝わってくる。
生々しいって!言ったって、描いてる対象は生の人間じゃない、布のぬいぐるみなのだ!
顔も、片方しかない捻れた腕も手も、太さがバラバラで立てるのか分からない足も膝も布の質感だ。なのにこの確かな「人間」の感じは一体何だろう!?
このフィギュアドローイングは俺たち人間に「貴方たちはいったい私たちの何を完全と言い何を不完全と言ってるの?!」叫んでいるようだ。
松浦美桜香は人間の人間に対する評価基準、美醜の基準、この世界の価値基準そのものへ尖った問いを俺たちに突きつける。
文句なしグランプリだろう!

小林正人賞
「From my room」おひのにほ

画家達は昔から絵を描くことで救われてきた。
俺も含めて絵を描いてなかったらどうにもならない、ほとんど最低の人間もいる。
おひのにほは外界に怯え長いこと布団に包まっている自身をずっと描いていたようだ。
けど、弱いと言い部屋の中でただ布団に包まっている事と、布団に包まっている自身の弱さを”それでも描こう…”とする事は天と地程違う。
描くには意志が必要だからだ。ほんの微かでもWillー意志があるか?!それが弱さを弱いまま武器に変える魔法だ。
おひのにほ、彼女?彼?の出品作を俺は "綺麗だ.."と思った。
部屋の中で服を被ってフルフェイスのヘルメットで武装したところだ。まだ外に出てはいない。部屋で武装し、外へ出るシュミレーション!描かれた自身に決別を告げる絵だ。まだ恐れている。そういう空気感がある。ヘルメットの白にも、被ってる布団の薄い蛍光色にも臆病な輝きが在る。後はいつか絵が君を外界へ押し出すだろう…。
黒いシールドで表情が見えないのも、ベラスケスの肖像画みたいな縦長のフォーマットも良かった。

 

OJUN氏

優秀賞

「秋のようせい(松ぼっくり)」松岡日菜子

 

描かれている固有の形象(秋のようせい?)につい目が行くが、この絵はパネルに描かれているすべてがどこもかしこも“イメージ”そのもので絵の四辺瀬戸際まで充たされていると思った。擦りつけるような筆は絵具をかき混ぜ彩度を損なうも作者の熱量と手数の過剰が作者の奮闘を伝える一点と映るが、実は形あるものも不明瞭な部分も逐次描き現われるものを見つけている。描くことが渉猟されているのだ。そのため至る所が都度更新されながら全域が見渡されている。

描くことを見る、描かれていることが見えるという絵を見る両人にはたらきかける視覚世界の在りようと現象は一様ではなく、また流行り廃りでもなくいつの時もその人の行為による世界認識の仕方なのだ。なので単純に形象の有無によって抽象度ははかれない。平板に描き起こされる、「あり得ない私の心(空間)」をどう生きるか?作者は自身の制作について“昨日と今日で全く絵が違って見える”“一枚の絵が完成したときに日常から遠く離れ~”そして絵を描くことは“非凡で普遍的なもの”と言う。絵を続けていける者の言葉だ。この絵もまたそれを証明しているように見える。

 

OJUN賞

「freedom dogs」泰樂瑠花

人や事物、周囲の景観などそれぞれの仕組みや常態を絵のなかで再編することで私たちの日常の設えをあらためて見せられているように思う作品。一見、明るくやわらかい印象の絵は親が子に絵本を読み聞かせするようこの絵を見る人はいろいろ様々が浮かんで見えてくるだろう。それぞれの事物の質の描き分けを異なる筆触で表現したり、画面のなかの水平垂直軸に沿って構成的にモチーフを配して視線遊動を行うなど画面が巧妙に作り込まれているからだ。そのために鑑賞者はこの絵の中で日常の違和や屈託を淡々としかし不意に体験することになる。この絵は、極めて確かな絵画術を以て描かれている。しかも作者はコメントで「犬にとっての自由。人にとっての自由。」とだけ記してさらに悩ましい。

ただ、これら緻密に引かれた導線を見歩く鑑賞者の“見る自由”はどれだけ許されるのか。

顔も見せずに犬の腹を抱くこの人の手の冥さは何故か?犬の後ろ脚の下部の異様な毛溜まりは何なのか?そういう毛並みの種類なのか?その毛溜まりの中に見える人の顔は誰か?おれの単なる思い込みか?これらは一体作者の手の内か、それとも図らずできてしまった綻びなのか?

そこんとこはどうなのか、機会があれば他の絵も見てみたい。

 

諏訪敦氏

特別賞
「GAITA」LEE NICOLE


タイトルは"蓋塔 "の同音異義語からの造語であるという。送電塔にも、宗教的な塔にもみえ判然としない。しかし魅力的だ。
作者は過去の記憶からイメージを抽出し、意識的に変容させて再び表象を与えているという。その画面は詩的で、きわめて小さな作品でありながら、細部には水墨画の技術習得の中で培ったであろう、確かさも垣間見られる。静謐で豊かなイメージを内部に秘めている感性は貴重で、大いに将来性を感じさせる。製作しているというアニメーションにも興味が尽きない。満場一致で賞に値する若者であると判断した。

諏訪敦賞
「弔う庭」髙橋冴

描かれているのは自身の手で、布やレース、そして木材を使いこしらえた、心理療法で使われる箱庭サイズのソフト・スカルプチュアである。それらをモチーフに、親密さをもってすべて平等に描き尽くされている。絵画というフォーマットにおいては、自ずと生じてしまうモチーフ間のヒエラルキーさえも、精緻な描写で無化しようと試みているかのようだ。
レースを編み上げる手仕事に匹敵する、旺盛な仕事量に支えられた描写力は特筆すべきものだ。しかしそれは女性が因習的に担い続けてきた手仕事を思わせ、高橋の画面はアレゴリーに満ちている。

長亭GALLERY賞
「幽霊のように」神頭優太


ストロークと消去の繰り返しは、絵画との対話の痕跡だろうか。暴力的でもあり、描き終わりも明瞭ではなく、まるで鑑賞者の理解を拒絶しているかのよう。しかし思索の積み重ねを強く鑑賞者に意識させる画面であることだけは確かだ。
審査がひととおり終わりかかった頃、「救いようのないほど内側に潜航するようでいて、でも彼は絵画を信用しているようにも見える。気になりませんか」と提案し、急遽、奨励賞を設けその対象者とした。

 

井浦歳和氏​

井浦歳和賞

「真実の幕 veil of reality」唐 詩尭

雨の中を走る新幹線の車窓越しに見えているかのような、細部が剥奪されたぼんやりとした画面。ごく個人的な記憶の奥底にある心象風景、小さい頃の出来事……誰もが当たり前に通り過ぎてきた光景でもあるような、不思議なリアリティをもって感じられた。

長亭GALLERY

長亭GALLERY賞

「くいこみツリー/Trees digging into fence」近藤拓丸 

近年、3Dや、VRを使い制作されている作家が増えている。近藤さんは日常生活を3DCGの空間に取り組んで、再び現実のキャンバスに描いた。絵具の色合いやゲームのキャラクターで画面のなかの日常をCGだと思わせる。"有機的な樹木が無機的なフェンスを侵食していく様子"そう説明されたが、木のアウトラインが直線なり、無機的にも見えてきて、現実と仮想のラインや世界の認識の仕方を問う作品と思われる。

審査員により受賞者は以上になります。

人気賞

来場者一人一票で、票数が一番多い作家さんが人気賞を得る。今年2人票数が同じなので、同時に人気賞を受賞!

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「地球でふたりきり」

フカミエリ FUKAMI ERI

油彩、パネル 

F15号 652×530mm 

2022年

作品コンセプト

自分と世界における 「こころの在りか」 をテーマに制作している。

人間の意識を作っているのはなんだろうか。

とある瞬間に、デジャヴを感じたり。 夢の中で何度も繰り返される光景を見たり。 「なにか」 に出会って感動したり。 私達が、意識せずとも。

こころが、感情が、記憶が、 私よりも正確に「世界の在りか」 を教えてくれる。

 

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ダロウェイ夫人

松本 桂 Kei Matsumoto

805 × 655 mm

2022

キャンバス、アクリル、墨

作品コンセプト

最後の表面にたどり着いてわかる。すべてなくてはならないものだった。覆い隠して見えなくなった筆跡も、それがなければ今と同じ色や形を塗り重ねはしなかっただろう。

タイトルはヴァージニア・ウルフの小説から。

 

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​入選作品

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