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​グランプリ

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作品名 Purple

作者 松田ハル Hal MATSUDA
素材 キャンバスにシルクスクリーン、油彩、アクリル
サイズ 606×500mm
制作年 2021年 

作品コンセプト
私はVRの中で絵画を描き、そのイメージを現実空間に持ち込む。版画のインクを落とすという行為はかすれなどが生まれ、そこで初めて3Dの世界と現実の世界が交錯する。複製それ自体を表現したいと考えている。

 

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優秀賞

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作品名 共に産まれる仲間

作者 林果林 Karin Hayashi 
素材 木製パネルに油彩とアクリルガッシュ
サイズ 594mm×420mm、
制作年 2021年 

作品コンセプト
 先生は輪郭線に隣接する最も内側の部分を、水を少しと絵の具を多めに含ませた筆でなぞるように”性格”な指で滑らせた後に、中身も同色になった。私の頭に木の枝とその周りの空気の冷たさの理由がわかった気がした。

 

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特別賞

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作品名 The empty filter

作者 平子暖 Hirako Dan
素材 キャンバスに水性顔料マーカー
サイズ M30 606×910mm、
制作年 2020年 

作品コンセプト
私は旅先で感じた空間の広さや温度などの実感が画面に定着するまで繰り返し同じ作業を行ないます。しつこく描くことと客観的に観て完成していたらそれ以上手を入れないことの判断の塩梅を考えながら制作しています。

 

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奨励賞

小林正人賞

菊地武彦賞

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作品名 方古楞 Stubborn mind

作者 孙宇 Sunyu 
素材 Oil on canvas
サイズ 200×200mm
制作年 2021年 

作品コンセプト
我所有的作品都是自己精神的片段,存在于世上又与现实保持着距离
All my works are fragments of my own spirit, which exist in the world and keep a distance from reality

 

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諏訪敦賞

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作者 MC ドラゴン 
MC dragon

作品情報 
作品名 (a whispered shout)
素材 サブウーファー、木、銅板、ジュラシックパーク(チャプター11)  サウンドインスタレーション
制作年 2020年 

作品コンセプト
アートにウーハーをつける。低音を鳴らすウーハーは物語の物語性をなくしてリリックのみを際立たせる。銅板は振動する。

 

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井浦歳和賞

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作品名 犬女 | Dog Woman

作者 朝長 弘人  Tomonaga Hiroto
素材 oil , wax , sumi , cotton , panel
サイズ 450×530×20mm、
制作年 2021年 

作品コンセプト
この絵ではうずくまり遠い目をする恋人を描いた。ぎらついたようにも見える目つきは、犬のそれにも見えた。
像は風景の中で振動しながら宙吊りになり、近いようで分からない、私の視界で浮遊する他者とリンクする。

 

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作品名 Happy Land 3

作者 戸田悠理 Yusuke Toda
素材 Acrylic and oil on canvas
サイズ 800 x 770 x 50mm
制作年 2021年 

作品コンセプト
普段忙しく忙しく生活する中で忘れてしまいがちだが、私たちの中にも幼かった時の記憶や人格がきっと眠っているはずです。その時の感情や記憶をいつでも思い出せる標(しるべ)のような作品を描きました。

 

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長亭GALLERY賞

人気賞

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作品名 つむぐ生命

作者 フカミエリ FUKAMI ERI
素材 油彩
サイズ 910×727×20mm、
制作年 2021年 

作品コンセプト
私の昔の記憶や夢の中の出来事を描いています。
そんな事を踏まえて、想像しながら見て貰えると嬉しいです。

 

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作品名 肉を箸でつまむシリーズ 『しゃぶしゃぶ』

作者 田辺美那子 Minako Tanabe
素材 キャンバスに油彩
サイズ 333×242mm、
制作年 2021年 

作品コンセプト
箸でつままれて持ち上げられる肉のイメージは、グルメ番組やCMやスーパーのチラシの中で頻繁に見かけます。この世の中には、この絵のように当たり前のようで実は滑稽なことがたくさんあるのではないでしょうか。

 

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審査員コメント

 

小林正人氏

さほど広くない小さいギャラリー空間だが、300人を超える応募と500点の中からギャラリーの陳さんが選んだ35点が1点1点それぞれの熱量を放ってた。

その中でもグランプリ&優秀賞の2人はただ「私を見て見てわかって!」っていうんじゃない、今自分が立ってる場所が何処なのか?どういう世界なのか?が知覚されその思考から作品が自由にポンと出てきていた。

松田ハル、VRの中で描いた絵画が現実空間に持ち込まれる時俺は何かこれまで見た事がない事物としての質感とイメージの現れ方を感じてドキッとした。かすかなペインティング部分が現実世界の野蛮な行為の跡にさえ見える。スリリングな行為の変換の仕方が文句なしのグランプリだった。

優秀賞の林果林はVRではないが、家の形をした何か…絵画という架空の可愛い家=ホームを悪意をこめてチクチク刺す。彼女の悪意がどこから来るのか俺は知らない。でもそのアティチュードが林の絵のモチーフ、色や形、塗りをすごく魅力的にしてるんだ。

 

俺の個人賞はSunyu!。絵画に孤独に向き合う肝のようなもの!絵を捩じ伏せようとするデーモンの強いエゴと同時に濁ってない黒の絵の具に清らかな魂を感じた。

諏訪敦氏

松田ハルは複製を問い直している。受賞作は版画とVRを組み合わせた、「VR版画」であるそうだが、深い没入感が得られるヘッドマウントディスプレイやVRゴーグルを介して、仮想空間で眺める個別的な鑑賞体験を、現実世界に取り出し(またはその逆)、キャンバスに絵具で具現化して、他者と共有しようとする試みであろう。

絵画はつまるところ、画像を眼差す認識の歴史であるといっていい。しかし、デジタル技術の援用は、さまざまなプロセスを取り払い、制作者に画像を易々と手に入れさせてしまうという側面がある。

しかし受賞作は、解説で松田が強調しているように、シルクスクリーンで刷る過程でおこるイレギュラーなかすれがあり、油絵具やアクリル絵具の可塑性を利用して施された、描画層の厚みは考え抜かれたもので、それは松田の版画家としての矜持の表れではなかったか。

ただ、複製の概念を真正に問うのなら、仮想のイメージに身体を与えるような手続きは、古典的な意味での鑑賞体験の価値に我々を引き戻すことも意味し、僅かに疑問が残る。

とはいえ版画は絵画の複製であり、VRが現実空間の複製と見なすなら、彼の制作は二重性を孕み、現実と仮想空間の閾(しきい)を溶かすような鑑賞体験の提案は、そのシリアスさも評価され支持を集めた。

 

一方で、優秀賞を受賞した林果林の絵画は応募作中、もっとも不穏なものとして受け取った。描かれているものは住宅のような外形線や、幼児的な動物のシルエットと、平明な空間などに過ぎない。ぽかんと開けっ広げのようでいて、実は容易に理解を示されることを拒絶しているかのようだ。しかし絵画として奇妙に惹きつけられるものがあった。

朝長弘人の奨励賞について
離れられない存在であったはずの恋人が、うずくまり、遠い目をしている。不意に浮上した計り知れなさ。恋人の中に動物のような意思疎通の困難さをみたとき、朝長の創作意欲は起動したのかもしれない。
誰もが一刻も早く個性的なスタイルを身につけ、記号的で反復の効く画面を捻出しようとする風潮の中、朝長の絵画は地味な印象は否めないが、技法的な複雑さを極めながら、画面にはそれを感じさせない奥ゆかしさがあり、貴重だと思う。ここで誰かが認めなければと強く感じ、奨励賞とした。
 
平子暖の特別賞について
平明に切り分けられた風景画の色面には、それぞれマーカーによる無数のストロークが潜んでいる。水彩マーカーという画材は、直感的な表現に向き、支持体に極めて薄い描画層を作るが、油絵具やアクリルのような物質的な圧力に乏しい。また、筆跡がそのまま残ってしまうので、色を滲ませるような、偶然性を操作した演出はしにくい。従って、本作でもドローイングの軌跡そのものが、掛け値なしに平子暖の造形思想を示している。それでも応募作に一定の強度を感じられるのは、応募作中もっとも身体性を感じさせられたからだろう。
この賞は、応募作の中でとくに「伸び代」を感じさせるものに対して、期待を込めて与えるものだが、そのような期待値は全ての若者にあることはいうまでもない。しかし、審査の場で絶えず平子暖の名が発せられ続けたことは、審査員の誰もが、彼のストロークの集積に可能性を感じていたものと判断し、この賞を決定した。

菊地武彦氏

先日「長亭ギャラリーファイナリスト」展の審査に参加した。その所感を書いてみたい。
まず画廊を見渡して感じたことは、良くも悪くも「今」を表す作品が多いということだ。展示作品は一次審査を通過したもののため、似た傾向の作品が多くなった可能性もあるが、これが現在の趨勢なのだろう。具体的にいえばデジタル技術の影響による絵画と、自分語りの作品が多かったということだ。2000年代に入ってからのデジタル技術の進歩は目を見張るものがある。それに絵画が影響されるのは当然のことだろう。またイズムの消滅した時代にコロナ下での生活も相まって、自分自身に目を向けるのも自然なことかも知れない。


大賞を受賞した松田ハルさんの作品は、デジタル時代に前時代のアナログの代表のような絵画をどう関係づけるかを試みた秀作である。バーチャルリアリティーの映像を絵画に取り込む際に起こるであろうズレや矛盾をそのまま提示し、手書きの要素の少ないシルクスクリーンを使用したうえで、申し訳程度に手の痕跡を残している。また図版では伝わりにくいが、側面の処理によって絵画の物質性を強調している。ほんの少しの手描きの部分は、仮想イメージに対する具体的な身体を思わせ、違和感としてうまく作用しているが、今や身体はイメージの中の「違和感」でしかないのか。この作品はそのことを象徴的に表している。

 

奨励賞を受賞したMCドラゴンさんの作品にも注目した。これはサウンド・インスタレーションの作品で、サブウーハーからなにやら得体の知れない大きな音が流れてくる。得体が知れないといえばこの作品(物体)の造形は既成品と造形物の区別がつかない。音とともに前面に取り付けられた真鍮板が共振して不協音を響かせるのも、鑑賞者を不安にさせ混乱させる。しかしわからない部分が多いということは、そのことによって何かの始まりを暗示させるのも確かだ。創世神話の中で、その根源を混沌とするものは多い。この作品はそういった始まりの期待感を高揚させてくれるものであった。

 

他にも注目した作家が何人かいた。倪力さん、河端政勧さん、李燦辰さん、渡邉豊弘さんの作品は、前出のデジタル時代のいまを切り取った作品として興味を持った。何天一さんの作品はその流れから一線を画し、伝統的な中国絵画を今と結びつける意志を感じた。

 

全体にファイナリストというだけあって質の高い作品が多く、賞の選出は大いに悩んだが、審査員で意見の交換をしながら納得のできる審査であった。

井浦歳和氏

今回グランプリの松田ハルさんは、デジタライゼーションが主題となっているようでいながら、作家独自の生々しい空間感覚も感じた。作家がその時、その場所で制作したんだという唯一性と、作品の贋作可能性、複製の問題は、テクノロジーの加速も重なって混線してきている。美術商として、そういう問題意識がある作品は刺激的だった。

そして奨励賞の戸田悠理さんの作品について、まばゆい色彩で目を奪われ、遊びやユーモアの体感が後をひいた。人と人とがポップなものによって繋がっている今日的なメディア感覚は、それに自分が乗っかったり、逆に押しこまれていくような複雑な感覚と共にあるのかもしれない。精巧に、客観的に描かれている中に、現代に生きている人へのフックがある。

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​入選作品

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